歯石とは
歯石とは、プラークに唾液中のミネラルが沈着し、石灰化したもののことを指します。
プラークの段階であれば歯磨きやデンタルフロス・歯間ブラシなどで除去できますが、歯石になると患者様ご自身では落とせません。一方で、どれだけきれいにセルフケアをしても、歯石ゼロの状態をずっと維持するのは現実的に不可能です。
そのため、定期的な歯石とり(歯石除去)が必要になります。
歯石のつきやすいところ
歯石は、歯面のどこにでも発生します。 その中でも、前歯の裏側、上の奥歯の外側は、歯石がつきやすい(プラークが溜まりやすい)場所といえるでしょう。毎日のセルフケアでは、特にこのあたりを丁寧に磨くことを意識してください。
歯石はなぜとった方が良いのか
歯石そのものが、何か悪さをするということはありません。しかし、歯石を放置していることで、以下のようなことが起こります。 こういった事態をできるだけ避けるため、定期的な歯石とりが必要になります。
1、歯周病のリスクを高める
歯石の表面は、歯そのものよりもプラークが付着しやすい性質を持っています。そのため、歯石の放置によってプラークが溜まり、歯周病のリスクを高めることになります。
2、口臭の原因になる
歯石にプラークが付着すること、歯石によって歯周ポケットが塞がれることから、嫌気性菌が繁殖しやすい環境ができあがってしまいます。 嫌気性菌は、独特の嫌なにおいを発生させ、口臭の原因となります。
3、歯が磨きにくくなる
歯石と歯のあいだには、歯ブラシが届きません。また、歯石が存在することで、新たなデコボコが生じます。 歯磨きの効果が十分に得られにくいため、歯周病だけでなく、虫歯のリスクも高まります。
歯石の原因
プラークを48時間放置すると、歯石になってしまいます。 丁寧にセルフケアをしている方であっても、毎回100%プラークを除去することはできません。
どうしても、ほんの少しの磨き残しがあり、そのプラークが石灰化し、歯石となってしまうのです。
歯石の種類
歯石は、歯肉縁上歯石と、歯肉縁下歯石に分けられます。 歯肉縁とは、外から見たときの、歯と歯茎の境目のことを指します。
歯肉縁上歯石
歯肉縁上、つまり外から見える部分の歯に付着する歯石です。 一般的に白色や黄色っぽい色をしています。
歯肉縁下歯石
歯肉炎下、つまり歯周ポケットに付着する歯石です。外から確認することはできません。レントゲン検査をしたり、細い器具を挿入したりしてその有無が確認できます。 一般的に、黒っぽい色をしています。歯肉縁上歯石とは異なり、セルフケアが行き届かない場所に生じるため、歯茎に対してより大きな悪影響を与える歯石と言えます。
当院の歯石とり(歯石除去)クリーニングについて
検査
口腔内検査、レントゲン検査などで歯、歯茎、顎の骨の状態を調べます。歯周ポケットの奥深くは、細い器具を使って検査します。
歯石除去
スケーリング
専用の道具を用いて、歯肉縁上のプラーク、歯石を取り除きます。 当院では、手動のスケーラーに加えて、超音波スケーラーもご用意しております。超音波スケーラーであれば、微細な振動によって、歯石を砕くようにして除去することができます。
ループトレーニング
専用の道具を用いて、歯肉縁下(歯周ポケット)のプラーク、歯石を取り除きます。炎症がある場合は痛みを感じやすいため、局所麻酔を使用します。
フラップ手術
歯周ポケットの奥深くに歯石がある場合、スケーリングやルートプレーニングでは炎症が治まらない場合には、フラップ手術を行います。 歯茎を切開し、歯の根にこびりついたプラーク、歯石を除去し、歯面を滑らかに仕上げてから、縫合します。
歯石は、口臭や歯周病の原因となります。特に自分の口臭はご自身では気づきにくく、気づいた時には歯石がかなり溜まっている場合があります。 口臭を防ぐためにも3ヶ月に1回ぐらいのペースで、歯石取り除去を行うようにしましょう。
歯石は自分で取るのは安全?
歯石とりは、3~6ヵ月に1度、定期的に受けるのがおすすめです。 丁寧にセルフケアができている方であれば、それだけ通院の頻度を落とすことができます。
反対にセルフケアが不十分な場合には、頻繁な歯石とりが必要になります。
当院では、丁寧にセルフケアの指導を行い、できるだけご負担の少ない頻度での通院となるよう努めています。
毎回、同じ歯科衛生士がお口をケアさせていただくことで、細かな変化にも気づきやすくなり、また患者様の普段の生活のことも詳しく把握できるので、お一人おひとりにオーダーメイドな予防アドバイスができるようになります。
歯石取りの頻度
歯石とりは、3~6ヵ月に1度、定期的に受けるのがおすすめです。 丁寧にセルフケアができている方であれば、それだけ通院の頻度を落とすことができます。反対にセルフケアが不十分な場合には、頻繁な歯石とりが必要になります。 当院では、丁寧にセルフケアの指導を行い、できるだけご負担の少ない頻度での通院となるよう努めています。
歯のクリーニングとは
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、歯科医院で行う専門的なクリーニングのことで、虫歯・歯周病の原因となる汚れを隅々まで落とすことで、お口の健康維持に貢献します。
歯のクリーニングとホワイトニングの違い
ときどき混同されますが、クリーニングとホワイトニングは全く違うものです。 クリーニングは、プラーク、歯石、着色汚れを落とします。一方でホワイトニングは、色素が沈着した歯を薬剤で漂白する治療です。
クリーニングは、ホワイトニングのように沈着した色素を漂白することはできません。基本的に、物理的に、歯の表面の着色汚れを落とすものです。
目的が異なりますので、どちらがいいというものではありません。ただ、ホワイトニングに抵抗があるという方は、まずはクリーニングを試してみるのがよいかもしれません。
表面的な汚れを落とすだけでも、歯の白さが増します。
こんな方に歯のクリーニングがおすすめです
セルフケアに自信がない方
セルフケアは予防の基本です。しかし「正しくセルフケアに取り組めている方」は実はそう多くありません。 定期的にクリーニングを受け、磨き残したプラーク、こびりついた歯石を取ってもらいましょう。 当院にご来院の際には、セルフケアの指導を丁寧に行い、セルフケアの質の向上のお手伝いをさせていただきます。
歯並びが悪い方
歯並びが悪いと、どうしても磨き残しが多くなります。歯並びがきれいな人より、頻繁なクリーニングが必要になります。 当院では、インビザラインによる矯正治療にも対応しております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問合せください。
飲食・喫煙による歯の着色が気になる方
長く定期検診に通っていない方は、プラークや歯石が溜まっていたり、着色が進んでいる可能性が高くなります。 一度クリーニングを受けていただき、その後はできる限り、定期検診に通われることをおすすめします。
長く定期検診に通っていない方
表面的な着色汚れであれば、クリーニングで落とすことができます。
歯のクリーニングのメリット
虫歯予防・歯周病予防ができる
セルフケアだけでは、どうしても磨き残しが生じます。定期的にクリーニングを受ければ、磨き残しまできれいに除去され、“虫歯や歯周病になりにくい、きれいなお口”を維持できます。
口臭の改善・予防、着色の除去
虫歯や歯周病といった病気の予防だけでなく、口臭の改善・予防、着色の除去といった効果も期待できます。
口腔トラブルの発見
クリーニングを受けるということは、歯科医師や歯科衛生士のチェックが入るということです。 虫歯や歯周病をはじめとする口腔トラブルを早期に発見し、治療につなげることができます。
費用の目安
歯周病治療の一環として歯石除去を行う際、健康保険が適用されます。 3割負担の場合、レントゲン検査などを含め、1回あたりおおよそ3,500円~5000程度が目安となります。
出来る限り1回の治療で終えるこころがけておりますが、患者様によってはどうしても2回、3回と治療が必要なケースがございます。そのため当院では、患者様のヒアリングをさせて頂き、ライフスタイルに合わせて無理なく通院できるように治療計画をたてておりますので、お気軽にご相談下さい。
歯石取り・歯のクリーニングよくある質問
歯石除去
自分で歯石取りができるというキットが売っていました。正しく使えば問題ありませんか?
鏡を見ながらであっても、またそういった道具を用いても、患者様ご自身で歯石除去を行うことはおすすめしません。 ご自身の手で口腔の歯石をきれいに除去するのは、現実的に不可能です。また、歯や歯茎を傷つけるおそれがありますし、膨大な時間を要します。 歯石は、必ず歯科医院でとってもらいましょう。
歯石を取るときの痛みが心配です
歯茎に炎症がある場合、特に歯周ポケットの歯石除去では痛みが起こりやすくなります。そういった場合には、局所麻酔をかけた上で、歯石除去を行いますのでご安心ください。 また、定期的に歯石取りをして、炎症が治まると、痛みも起こりにくくなります。
歯石を取るとき、出血はしますか?
痛みと同様、炎症が起こっていると、歯石除去によって出血が生じやすくなります。ただ、これは道具によって歯茎が傷ついたものではなく、治療の過程としてやむを得ない出血と言えます。 出血は一時的なものですので、心配はいりません。
歯石取りのとき、ガリガリと音がします。歯が傷ついていないか心配です。
歯石取りの道具は、歯石のみと接触しています。歯が削れているということはありませんので、ご安心ください。 また当院では、手動スケーラーに加えて、超音波スケーラーを導入しております。微細な振動で、歯石を砕いて除去するため、スケーラーが歯を傷つけるリスクはさらに小さくなります。
歯のクリーニング
歯の着色が気になりますが、ホワイトニングには抵抗があります。クリーニングでも汚れを落とせますか?
はい。歯の表面的な着色であれば、クリーニングで落とすことができます。 ホワイトニングに抵抗があるとのことですので、まずはクリーニングを受けてみることをおすすめします。クリーニングを受けてもなお黄ばみが気になる場合には、一度ホワイトニングをご検討いただければと思います。
どれくらいの頻度で受ければいいですか?
患者様のご希望、お口の状態、セルフケアの状況によって異なりますが、3~6ヵ月に1回くらいのペースで受けていただくのが一般的です。 もちろん、それより頻繁に受けていただいても問題ありません。
着色を防ぐために、自宅でできることはありますか?
食後はすぐに歯を磨くこと、色の濃い飲食物を避けること、ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使用することなどが挙げられます。 ただし、研磨剤入りの歯磨き粉はおすすめしません。研磨剤によって一時的に歯が白くなりますが、エナメル質が傷つきますので、その後着色しやすくなります。 また、喫煙されている方は、できる限り禁煙しましょう。
歯のクリーニングは、歯科医院以外で受けられますか?
いいえ。歯のクリーニングは、医療行為に該当します。 医療機関である歯科医院でのみ、受けられます。